
合同会社設立の条件(要件)は「社員・定款・出資・登記」の4つ
合同会社設立の要件は、会社法の条文を順に読むと4つにまとまります。1つ目は社員になろうとする人がいること、2つ目はその人が定款を作って全員が署名または記名押印すること(会社法575条)、3つ目は定款を作ったあと登記をする時までに出資の全額を払い込むこと(578条)、4つ目は本店の所在地で設立の登記をすること(579条)です。合同会社は、この登記をした時点で成立します。
定款には、目的・商号・本店の所在地・社員の氏名と住所・出資の目的とその価額などを書き、合同会社では社員の全部を有限責任社員とする旨も記載します(576条)。商号には「合同会社」という文字を入れなければならず(6条2項)、同じ所在場所に同じ商号の登記がある場合は登記できません(商業登記法27条)。株式会社と違って、定款に公証人の認証は要りません。
出資できるものにも条件があります。576条1項6号は、有限責任社員の出資の目的を「金銭等に限る」としています。合名会社の無限責任社員のように、労務や信用を出資にすることはできません。合同会社の社員は全員が有限責任社員なので、お金か、それ以外の財産(現物出資)で出資することになります。私は金銭出資のみだったため、現物出資については制度の説明にとどめますが、財産を出資する場合は評価額の決め方や添付書類が加わる点に注意が必要です。
人数の条件は「1名以上」です。会社法641条は、社員が欠けたことを合同会社の解散の事由にしており、裏返せば社員が1人いれば会社として成り立ちます。私の場合は社員1名で、その1名が代表社員になる形でした。2人以上で作る場合の決め方は、人数のテーマで別に解説しています。
- 社員:合同会社の社員になろうとする人が1名以上いる
- 定款:社員になろうとする人が作り、全員が署名または記名押印する(認証は不要)
- 出資:定款の作成後、登記をする時までに全額を払い込む
- 登記:本店の所在地を管轄する法務局で設立の登記をする(ここで成立)


2合同会社設立の条件に年齢の制限はあるか(上限はなく、18歳が一つの境目)
合同会社設立の条件として年齢を気にする人は多いのですが、会社法の持分会社の規定を読んでも、社員になれる年齢を直接定めた条文は見当たりません。上限もないので、高齢だから合同会社の社員になれないということもありません。
年齢と関係が深いのは、むしろ判断能力の扱いです。会社法607条は、社員が後見開始の審判を受けたことを法定退社の事由の一つに挙げています。設立の時点で年齢の条件がなくても、社員になったあとに判断能力をめぐる手続きが始まれば、社員の地位に影響します。高齢の家族を社員に加えて合同会社を作ろうとしている場合は、設立の条件だけでなく、この退社の規定もあわせて見ておくと安心です。
年齢が意味を持つのは、民法の成年・未成年の区別です。民法4条は「年齢十八歳をもって、成年とする」と定めていて、2022年4月1日に成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。法務省の広報では、18歳・19歳の人は親の同意なく契約できるようになったと説明されています。定款を作ったり出資金を払い込んだりするのも法律行為なので、18歳以上であれば、年齢の面では成人と同じように自分で手続きを進められます。
一方、18歳未満の場合は法定代理人の同意が問題になり、さらに15歳未満かどうかで印鑑証明書が取れるかが変わります。つまり年齢そのものが合同会社設立の要件になっているのではなく、「同意」と「印鑑登録」という別の仕組みを通じて、実際にできることが変わるという構造です。この2つは後半の「つまずきやすい所」で順に説明します。


出典:法務省:記者が行く!~成年年齢が18歳に引き下げられます~
合同会社設立の資本金の条件:法律上の下限はなく「1円から」と言われる理由
資本金について、合同会社設立の条件として決まった最低額はありません。会社計算規則44条は、持分会社の設立時の資本金の額を、払い込まれた財産の価額の範囲内で社員になろうとする者が定めた額(零以上)としています。よく「1円から設立できる」と言われるのは、法令に下限の金額が置かれていないためです。
もっとも、資本金の額は合同会社の設立の登記で登記する事項の一つです(会社法914条5号)。登記事項証明書を取れば誰でも確認できるため、取引先や金融機関が会社の規模を見る手がかりにもなります。法律上は条件にならない金額でも、外からどう見えるかという点では無関係ではありません。いくらなら十分かは事業の内容で変わるので、条件というより判断の問題として考えるのが適切です。
ただし、資本金を小さくしても、登記のときに納める登録免許税は下がりません。法務省の「合同会社の設立手続について」では、登録免許税は資本金の額の1000分の7で、6万円に満たないときは申請1件につき6万円とされています。資本金がおよそ857万円以下なら、1円でも100万円でも6万円です。
もう一つ見落としやすいのが、資本金は定款に書いた出資の価額をもとに決まり、その出資を登記の前に全額払い込む必要があることです(会社法578条)。払い込んだお金は設立後の事業資金になるので、口座開設や当面の支払いまで考えて額を決めることになります。私の場合は資本金を100万円にし、代表社員個人の口座に振り込んで、通帳の写しを払込みを証する書面に綴じました。金額の決め方や払込みの方法は、資本金のテーマで詳しく扱っています。


外国人や法人も合同会社の社員になれるか(設立の条件だけを確認)
会社法の社員の規定には国籍についての条件は置かれておらず、外国籍の人も合同会社の社員や代表社員になることは制度上想定されています。手続き面では、印鑑を使わない国の人について、法務省の「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」のページが、本国の官憲などが作成した署名証明書の扱いや、押印の代わりに署名で契印する方法を案内しています。
注意したいのは、会社を作れることと、日本でその会社を経営する活動ができることは別の問題だという点です。在留資格は出入国在留管理庁の所管で、たとえば在留資格「経営・管理」の基準は令和7年10月16日に改正され、資本金等3000万円以上や常勤職員1人以上が必要になったと公表されています。在留資格ごとの詳しい要件はこのサイトの範囲を超えるため、出入国在留管理庁の案内か専門家で確認してください。
法人が社員になることもできます。会社法598条は、法人が業務を執行する社員である場合、その法人が職務を行う人(職務執行者)を選び、他の社員に通知することを求めています。法務局の「合同会社設立登記申請書(代表社員が法人の場合)」では、職務執行者の選任に関する書面と職務執行者の就任承諾書が添付書面に加わります。私は個人で設立していて該当しなかったため実体験はなく、ここは制度上の説明です。

出典:法務局:合同会社設立登記申請書(代表社員が法人の場合)
つまずきやすい所①:未成年が合同会社を設立するときの「法定代理人の同意」
18歳未満の人が合同会社の社員になる場合、まず関わるのが民法5条です。未成年者が法律行為をするには法定代理人(通常は親権者)の同意が必要で、同意なしにした行為は取り消すことができます。定款を作って署名すること、出資の約束をして払い込むことはいずれも法律行為にあたるため、自分で進めるにしても、親権者の同意を得たうえで進めるのが前提になります。
ここでつまずきやすいのが、解説によって根拠条文が混ざっていることです。会社法584条は「無限責任社員となることを許された未成年者」を社員の資格に基づく行為について行為能力者とみなす規定ですが、合同会社の社員はすべて有限責任社員なので(576条4項)、この条文はそのままでは当てはまりません。また民法6条の「営業の許可」は、未成年者自身が営業をする場合の制度です。株式会社や合名会社の説明をそのまま合同会社に持ち込まないよう、条文の主語を確かめてください。
さらに、法務局が公開している合同会社設立登記の添付書面の説明には、未成年者が社員になる場合の記載がありません。親権者の同意書をどの形式で用意し、登記申請に添付するかどうかは、申請前に管轄の法務局の登記手続案内で確認するのが確実です。私は該当しなかったため実体験はなく、制度上の整理にとどめます。
- 18歳未満なら、定款の作成と出資について親権者の同意を得る(民法5条)
- 会社法584条は無限責任社員の規定で、合同会社にはそのまま当てはまらない
- 同意書の形式と添付の要否は、管轄の法務局に事前に確認する
- 同意を得たことを書面で残しておく


出典:e-Gov法令検索:民法
つまずきやすい所②:代表社員の条件として効いてくる「印鑑証明書が取れるか」
法律の要件とは別に、書類の面で関門になるのが印鑑証明書です。法務省の案内では、書面で合同会社設立の登記を申請するとき、印鑑届書に会社の代表者印を押すほか、代表社員の個人の印鑑も押し、市区町村が作成した3か月以内の印鑑証明書を付けるとされています。代表社員になる人は、個人として印鑑登録をしていることが事実上の条件になります。
印鑑登録ができる人は市区町村の定めによります。たとえば札幌市は、市に住民登録がある人を対象にし、「15歳未満の方及び意思能力を有していない方は登録できません」と案内しています(2026年10月17日に確認)。同じように15歳未満を対象外にしている市区町村は多く、15歳未満の人が書面申請で代表社員になるのは難しいと考えておくのが無難です。住民登録のない海外在住者も、日本の印鑑証明書は取れません。
一方、法務局の「合同会社設立登記申請書(代表社員が法人でない場合)」の添付書面一覧を見ると、代表社員以外の社員の印鑑証明書は挙げられていません。社員が複数いる合同会社では、印鑑証明書の条件がかかるのは主に代表社員だと整理できます。誰を代表社員にするかを決める段階で、その人が印鑑登録をしているか、期限内の証明書を取れるかを確かめておくと、申請の直前に慌てずに済みます。
オンライン申請なら印鑑の提出は任意ですが、代わりに代表社員本人の電子署名が必要になるため、年齢や居住地によって使えるかは個別に確かめることになります。印鑑証明書は期限にも注意が要ります。私は作成後3か月以内という条件が気になり、申請の直前に取り直しました。


7判断が必要な所:条件を満たしたあとに決める「資本金の額」と「社員の組み方」
ここまでの条件を満たせば合同会社は作れますが、条件を満たすことと、どう作るのがよいかは別の話です。代表的なのが資本金の額で、国税庁のNo.6531では、基準期間がない法人のうち、事業年度開始の日の資本金の額または出資の金額が1000万円以上の場合は、消費税の納税義務が免除されないとされています(令和8年4月1日現在の法令等として掲載。2026年10月17日に確認)。下限がないからといって極端に小さくすれば資金繰りに響き、大きくすれば税の扱いが変わります。
もう一つは社員の組み方です。会社法590条では、社員は定款に別段の定めがない限り業務を執行し、2人以上いれば過半数で決めます。599条では、業務を執行する社員は各自が会社を代表するのが原則で、定款か定款にもとづく互選で代表社員を定めることができます。家族や未成年の子を社員に入れるか、法人を社員にするかによって、意思決定の重さも、退社や相続のときの扱いも変わります。業務を執行する社員の氏名と、代表社員の氏名・住所は登記事項なので(会社法914条6号・7号)、誰を業務執行社員や代表社員にするかは、外から見える会社の顔ぶれを決めることでもあります。私の場合は代表社員を定款で定めたので、就任承諾書は付けていません。
こうした項目は、本や条文を読んでも答えが一つに決まるものではありません。事業の見通しや家族の事情と合わせて決める必要があるため、迷う場合は税理士・司法書士などの専門家や、税務署・法務局に確認してください。

出典:国税庁:No.6531 新規開業又は法人の新規設立のとき
まとめ:合同会社設立の条件を、自分でやる場合と専門家に頼む場合で並べる
合同会社設立の条件は、法律上は「社員1名以上・定款・出資の全額払込み・登記」の4つで、年齢の上限や資本金の下限は定められていません。実際に関門になるのは、18歳未満なら法定代理人の同意、代表社員なら印鑑証明書が取れるかどうか、外国籍なら署名証明書や在留資格、法人なら職務執行者の選任といった、立場ごとの追加の条件です。
自分で進める場合は、司法書士への報酬がかからない代わりに、自分の立場にどの条件が加わるかを条文や法務局の案内で確かめ、必要なら法務局に事前に確認する手間を引き受けます。成人・日本在住・金銭出資のみ・社員1名という形(私の設立もこの形でした)なら、4つの要件のほかに加わる条件は少なくなります。未成年や外国籍の人が入る場合、法人を社員にする場合は、確認すべきことが増えるので、専門家に頼むことも選択肢になります。どちらが合うかは立場と時間の余裕で変わるため、断定はできません。
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出典:法務局:合同会社設立登記申請書(代表社員が法人でない場合)
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
人数の条件に絞って、最低1名・上限なしという点を説明しています。
資本金の下限がないことと、1円で作る場合の注意点を取り上げています。
サイトを開く →自分一人で設立する前提で、要件と手続きの順番をまとめています。
出資の履行の時期など、資本金の条件を会社法の条文とあわせて説明しています。
外国籍の人が会社を作るときの条件と、在留資格との関係を整理しています。
- 未成年の学生でも会社が設立できる?注意すべき3つのポイント
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- 税理士ドットコム
年齢の条件を、若い世代から高齢の世代まで年代ごとに取り上げています。
- 株式会社についての記事で、合同会社の条件と比べながら読むと違いが分かります。
- 運営:VSG
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