合同会社設立の資本金の払込み|いつ・どの口座に払い込むか、通帳の写しと払込証明書の作り方を解説

合同会社設立の資本金の払込みはいつ?定款を作ったあと、登記を申請するまで
払込みの時期は、会社法第578条で決まっています。法務省の「合同会社の設立手続について」でも、社員になろうとする者は、定款の作成後、合同会社の設立の登記をする時までに、その出資に係る金銭の全額を払い込まなければならないと案内されています(2026年10月17日に確認)。始まりは「定款の作成後」、終わりは「設立の登記をする時まで」です。
始まりの「定款の作成後」は、紙の定款でも電子定款でも、定款に記載した作成日を基準に考えます。合同会社の定款は公証人の認証が要らないため、株式会社のように「認証を受けた日」を待つ必要はありません。終わりの「登記をする時まで」は、法務局に申請する時までという意味で、申請の前日や当日に払い込んでも条文の範囲には入ります。ただし、払込みを証する書面には払い込んだ日付が残るので、申請日より後の日付にはなりません。
実際の段取りとしては、定款を作る、払い込む、通帳の写しを取って払込みを証する書面を作る、ほかの書類と一緒に申請する、という流れになります。定款の内容をあとから直すと、出資の価額が変わって払い込む額も変わることがあるため、定款を確定させてから払い込むのが安全です。資本金をいくらにするかがまだ決まっていない場合は、先に金額の決め方の記事を読んでから進めてください。


資本金の払込み先:代表社員個人の口座に、出資する社員がそれぞれ払い込む
払込み先の口座は、法律で特定の口座が指定されているわけではありません。法務省の案内では、合同会社は株式会社と違って、銀行などの払込取扱機関で払込みをしなければならないという制約はないとされ、払込取扱機関の口座を使う場合は、内国銀行の国内の本支店のほか、外国銀行の日本国内の支店も含まれると説明されています。とはいえ、会社名義の口座は登記が終わるまで作れないため、実務では代表社員個人の口座を使うのが一般的です。
会計ソフト事業者の弥生は、よくある質問の中で、出資者がそれぞれ出資する金額を代表者の口座に払い込むこと、代表者の口座は残高にかかわらず既存の口座でよく、残高を0円にする必要はないこと、誰が払い込んだかが分かるように「振込」で払い込むこと、出資者が1人の場合はその人の個人口座に「預入」で払い込んでもよいことを案内しています(2026年10月17日に確認)。すでに出資の額以上の残高があっても、それとは別に払込みの記録を作る、という点が大切です。
社員が1名の合同会社なら、自分の口座に自分で入金することになります。私の場合は、代表社員である自分の個人口座に振り込みました。合同会社の社員が複数いる場合は、代表社員の口座に各社員が自分の名義で振り込み、通帳に社員ごとの記録が残るようにします。
- 会社名義の口座は登記まで作れない
- 代表社員個人の口座を使うのが一般的(既存の口座でよい)
- 残高があっても、別に払込みの記録を作る
- 社員が複数なら、各社員が自分の名義で振り込む

出典:弥生のかんたん会社設立 よくあるご質問:出資金(資本金)の払込み方法
資本金の払込みのやり方と通帳の写し:日付と金額が分かる記録を残す
払い込むときに意識するのは、あとで写しを取ったときに「いつ」「いくら」が読み取れることです。法務局のオンライン申請向けの添付書面のページでは、代表社員が証明書を作り、PDFにした預金通帳の写しや取引明細票と結合する場合は、入金または振込に関する部分にマーカーか下線を付すなどして、払い込まれた日と金額が分かるようにするよう案内されています(2026年10月17日に確認)。入金でも振込でも、日付と金額が記録に残ることが前提です。
通帳の写しは、口座の名義人が分かる部分と、払込みが記録されたページを取ります。法務局の記載例の注にも、預金通帳の写しは「口座名義人が判明する部分を含む」と書かれています。一般には、通帳の表紙、表紙をめくった見開き(銀行名・支店名・口座番号・名義が載っているページ)、払込みが記帳されたページの3か所を写すことが多く、払込みの行にマーカーか下線を引きます。払込みの前に記帳を済ませておくと、通帳の行が飛ばずに写しを取りやすくなります。
通帳を発行しない口座(ネット銀行など)の場合は、通帳の写しの代わりに取引明細を使います。法務省の案内でも、預金通帳の写しと並んで取引明細表が挙げられています。明細を印刷するときは、銀行名、口座番号、口座名義、払込みの日付と金額が一枚の中で確認できるかを見てください。名義が別の画面にしか出ない場合は、その画面も印刷して一緒に綴じます。


出典:法務局:合同会社の設立の登記申請(オンライン申請)に必要な添付書面情報
払込みを証する書面(払込証明書)の書き方と綴じ方
登記の申請書には、払込みがあったことを証する書面を添付します。法務局が公開している合同会社設立登記申請書の記載例では、この書面にあたるものとして、払込金受入証明書、または代表社員が作成した払込みを受けたことを証明する旨を記載した書面などが挙げられています。自分で設立する場合は、後者の証明書を作り、通帳の写しを綴じる形がほとんどです。
記載例の証明書は短い書面です。「当会社の資本金については以下のとおり、全額の払込みがあったことを証明します。」という本文に、払込みを受けた金額、日付、会社の商号、代表社員の氏名を書きます。紙で申請する場合は、代表社員の印を押します。記載例の注には、取引明細表や預金通帳の写し(口座名義人が判明する部分を含む)、代表社員の作成に係る出資金領収書などを合わせて綴じ、振込みに関する部分にマーカーか下線を付すと書かれています(2026年10月17日に確認)。
綴じる順番は、証明書を一番上にして、その後ろに通帳の表紙、見開き、払込みのページの写しを重ねるのが一般的です。複数枚になるので、ホチキスで留め、つなぎ目に代表社員の印で契印をする方法がよく紹介されていますが、記載例そのものには払込みを証する書面の契印の指示はないため、気になる場合は管轄の法務局に確認してください。オンラインで申請する場合は紙を綴じる代わりに、代表社員が作った証明書と、PDFにした通帳の写しや取引明細を一つのファイルに結合し、代表社員の電子署名を付けます。出資金領収書を使う場合も電子署名が必要だと、法務局のオンライン申請の案内に書かれています。私の場合は、通帳の写しを払込みを証する書面に綴じ、本店所在地を管轄する法務局の窓口に持参して申請しました。補正の連絡はなく、申請から約1週間で登記が完了しています。


5つまずきやすい所①:株式会社向けの「認証日以降」「2週間以内」を合同会社に当てはめる
資本金の払込みを調べると、「払込みは定款の認証を受けた日以降に」「払込みが終わってから2週間以内に登記を」という説明がよく出てきます。これは株式会社の手続きを前提にした説明で、そのまま合同会社には当てはまりません。合同会社の情報は株式会社に比べて少なく、払込みの記事でも株式会社の話が混ざっていることが多いので、読むときに会社の種類を確かめる必要があります。
一つ目の「認証日以降」について、合同会社の定款には公証人の認証がありません。会社法第578条の言葉は「定款の作成後」なので、基準は認証日ではなく定款の作成日です。二つ目の「2週間以内」は、会社法第911条の株式会社の設立の登記についての定めで、調査が終わった日などから2週間以内に登記しなければならないとしています。合同会社の設立の登記を定めた第914条には、この期限は書かれていません(2026年10月17日にe-Gov法令検索で確認)。
ただし、期限がないからといって、払込みから申請までを長く空けてよいとは限りません。払込みのあとに定款を直すと、払い込んだ額と出資の価額がずれることがあります。また、申請に使う個人の印鑑証明書には、作成後3か月以内という期限があります。私の場合は、この期限が気になったため、申請の直前に印鑑証明書を取り直しました。払込みから申請までは、書類がそろい次第まとめて進めるのが無難です。
反対に多いのが、定款を作る前に、準備のつもりで出資のお金を口座に入れてしまうことです。合同会社の条文は「定款の作成後」と順番を決めているため、定款の作成日より前の日付の入金しかないと、払込みを証する書面の日付と定款の日付が前後してしまいます。この場合にどう扱われるかは、この記事では断定しません。日付が前後してしまったときは、書類を作り込む前に、定款の作成日と入金日を伝えて管轄の法務局に確認してください。合同会社を自分で設立する場合は、定款の日付を決めてから払い込む、という順番を手帳に書いておくだけでも、この失敗は防げます。


出典:e-Gov法令検索:会社法(第578条・第911条・第914条)
つまずきやすい所②:払い込む額は資本金ではなく「出資の価額」。社員ごとの内訳も合わせる
払い込む金額で迷いやすいのが、資本金の額と出資の価額の関係です。会社法第578条が求めているのは「出資に係る金銭の全額」の払込みで、払い込む対象は定款に書いた出資の価額です。会社計算規則第44条では、設立時の資本金の額は出資された財産の価額の範囲内で決めるとされ、資本金にしなかった残りは資本剰余金になります(2026年10月17日にe-Gov法令検索で確認)。出資200万円のうち資本金を150万円にする合同会社なら、払い込むのは200万円です。
このとき、払込みを証する書面の「払込みを受けた金額」は出資の総額、登記申請書の「資本金の額」と「課税標準金額」は資本金の額、と数字が分かれます。法務局の記載例のように出資の価額と資本金の額が同じなら、すべて同じ数字になります。申請の前に、定款、決定書、証明書、通帳の写し、申請書の金額を一つの表に並べて、どれがどの数字に当たるかを確かめると、取り違えを防げます。
社員が複数いる場合は、社員ごとに、定款に書いた出資の価額どおりに払い込まれているかも確かめます。合計額が合っていても、ある社員が多く、別の社員が少なく払い込んでいると、定款の内容と合いません。振込手数料を差し引いた額で振り込んでしまうと金額が足りなくなるため、手数料は振り込む側が別に負担します。私は社員1名だったため、複数の社員の払込みについては実体験がなく、ここは制度上の説明です。

判断が必要な所:払込み後のお金をいつ会社口座に移し、設立費用をどう扱うか
払込みが済んで合同会社の登記が終わったあと、代表社員個人の口座にある出資金を、会社名義の口座に移します。法人口座は登記が終わってから申し込むことになり、開設までの期間は金融機関によって違います。その間に事業の支払いが始まる場合、個人の口座から払うのか、口座ができるまで待つのか、記録をどう残すのかは、手順書には書かれていない判断の部分です。
もう一つ判断が要るのが、設立のためにかかった費用の扱いです。法人税法施行令第14条は、創立費を「設立登記のために支出する登録免許税その他法人の設立のために支出する費用で、当該法人の負担に帰すべきもの」、開業費を「法人の設立後事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用」と定めています。そして第64条では、創立費や開業費の償却の限度額をその繰延資産の額としているため、税務上はいつ、いくら費用にするかを会社が選べる形になっています(2026年10月17日にe-Gov法令検索で確認)。
代表社員が個人で立て替えた登録免許税や印鑑代を、会社が精算して創立費にするのか、どの事業年度でいくら費用にするのかは、利益の見通しや決算の考え方で変わります。払込金をそのまま設立費用に充てる場合も、払込みの記録と支払いの記録を分けて残しておかないと、あとで帳簿をつけるときに区別がつかなくなります。最初の決算までに、税理士か会計ソフトの案内で処理の方法を確かめておいてください。


出典:e-Gov法令検索:法人税法施行令(第14条・第64条)
まとめ:合同会社設立の資本金の払込みを、自分で進める場合と専門家に頼む場合
合同会社の資本金の払込みは、定款を作ったあと、登記を申請するまでに、定款に書いた出資の価額の全額を払い込む手続きです。払込み先は代表社員個人の口座が一般的で、既存の口座でもかまいませんが、日付と金額が分かる入金か振込の記録を新しく作ります。通帳の表紙と口座名義が分かる部分、払込みのページを写してマーカーを引き、代表社員が作成した証明書と綴じれば、払込みを証する書面になります。株式会社向けの「認証日以降」「2週間以内」は合同会社の条文にはなく、払い込む額は資本金ではなく出資の価額です。
自分で進める場合は、司法書士への報酬はかかりませんが、金額の対応や綴じ方を法務局の記載例と照らし合わせる作業を自分で引き受けます。社員が1人で、出資の価額と資本金の額が同じなら、迷う点はそれほど多くありません。専門家に頼む場合は報酬がかかりますが、社員が複数いる、出資と資本金を分ける、払込みの日付に不安がある、といった条件では確認の手間を任せられます。設立後の会計処理まで含めて相談したいかどうかでも、選び方は変わります。
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