合同会社設立の流れと登記|申請書の作り方から登記完了・証明書の取得までを順に解説

合同会社設立の流れの中で「登記」が持つ意味:申請が受け付けられた日に会社が成立する
合同会社設立の流れは、基本事項を決め、定款を作り、出資金を払い込み、最後に法務局へ設立の登記を申請する、という順に進みます。このうち登記は、単なる届出ではありません。会社法第579条は、持分会社(合同会社を含む)は本店の所在地で設立の登記をすることによって成立する、と定めています。定款を作っても、出資金を払い込んでも、登記をするまでは合同会社はまだ存在しない、ということです。
混同しやすいのが「申請した日」と「登記が完了した日」の違いです。登記簿に記録される会社成立の年月日は、原則として法務局が申請を受け付けた日になります。法務局の審査が終わるまでには日数がかかりますが、その間も成立日は受付日のままです。設立後の届出期限(法人設立届出書は設立の日から2か月以内など)も、この受付日から数えることになります。
登記の段階でやることは、大きく分けて「申請書と添付書類をそろえる」「管轄の法務局へ出す」「補正があれば対応し、完了を確かめる」「完了後に証明書を取る」の4つです。以下、この順に解説します。合同会社設立の流れ全体を先に確認したい場合は、親テーマの解説から読んでください。


登記の手順①:法務局の記載例に沿って申請書と添付書類をそろえる
申請書は、法務局の「商業・法人登記の申請書様式」に掲載されている合同会社設立登記申請書の様式(WordとPDF)を使うのが確実です。記載例では、登記の事由は「設立の手続終了」、登記すべき事項には商号・本店・公告をする方法・目的・資本金の額・社員に関する事項などを書き、課税標準金額には資本金の額を書く形になっています。商号のフリガナは「合同会社」の部分を除いて片仮名で書き、国税庁の法人番号公表サイトで公表されます。
添付書類は、記載例では定款、代表社員・本店所在地・資本金を決定したことを証する書面、代表社員の就任承諾書、払込みがあったことを証する書面、資本金の額の計上に関する代表社員の証明書が並んでいます。ただし、すべての会社で全部が必要なわけではありません。記載例の注記には、定款で本店の所在場所を番地まで定めていれば決定書の本店部分は不要、出資が金銭のみなら資本金の額の計上に関する証明書は不要、とあります。私の場合は、代表社員を定款で定めていたので、就任承諾書は付けていません。
払込みを証する書面には、通帳の写し(口座名義人が分かる部分を含む)を合わせて綴じ、振込みの部分にマーカーや下線を付けるよう記載例に書かれています。書面申請で印鑑を届け出る場合は、これに印鑑届書と、代表社員個人の印鑑証明書(作成後3か月以内)が加わります。
- 合同会社設立登記申請書(登記の事由は「設立の手続終了」)
- 定款(電子定款ならそのデータ、紙なら原本)
- 代表社員・本店所在地・資本金の決定書(定款で定めた事項は不要な場合あり)
- 払込みがあったことを証する書面+通帳の写し
- 収入印紙貼付台紙(登録免許税分)
- 印鑑届書+代表社員個人の印鑑証明書(書面申請の場合)


登記の手順②:綴じ方と登録免許税の納め方、管轄の法務局の調べ方
書類がそろったら、申請書と収入印紙貼付台紙を綴じます。記載例では、申請書が複数ページになる場合は各ページのつづり目に契印をし、その印は申請書に押した印鑑(代表社員が法務局に届け出る印鑑)と同じものを使うよう求めています。収入印紙は割印をせずに、台紙の右側に寄せて貼るよう注記されています。消印は法務局の側で行うので、自分では貼るだけにしておきます。
登録免許税は、資本金の額の1000分の7で、6万円に満たなければ6万円です(記載例と国税庁の税額表で2026年10月17日に確認)。資本金100万円なら計算上は7千円なので、6万円を納めます。私の場合も資本金100万円で、登録免許税は6万円でした。収入印紙は郵便局などで買えます。
提出先は、本店所在地を管轄する法務局(本局・支局・出張所)です。市区町村によって担当の登記所が決まっていて、近くの法務局が必ずしも管轄とは限りません。法務局の「管轄のご案内」で、本店を置く住所の管轄を事前に確認してください。管轄違いの登記所への申請は却下の対象になるため、ここは合同会社の登記で最初に確かめておきたい点です。


出典:法務局:管轄のご案内
登記の手順③:窓口・郵送・オンラインのどれで合同会社の登記を出すか
設立登記の申請方法は、書面を窓口へ持参する、書面を郵送する、オンラインで申請する、の3つです。書面で申請する場合は印鑑届書を紙で出します。オンライン申請では、令和3年2月15日から印鑑の提出が任意になりました(法務省の案内で2026年10月17日に確認)。
法務局の「合同会社の設立の登記をしたい方(オンライン申請)」では、代表社員がマイナンバーカードを使って申請する手順が案内されています。申請者情報の登録、申請用総合ソフトのインストール、申請書情報の作成、添付書面情報への電子署名、送信、登録免許税の納付という順で、ICカードリーダライタも必要です。初回は環境づくりに時間がかかる点を見込んでおいてください。
郵送の場合は、書類が法務局に届いて受け付けられた日が申請日になります。日付を指定したい場合には、到着日を読みにくい点に注意が要ります。窓口に持参すれば、その日が受付日になります。私の場合は、本店所在地を管轄する法務局の窓口に書類を持参して申請しました。オンラインと郵送は使っていません。どの方法でも、出す書類の中身と登録免許税の額は同じです。

出典:法務局:合同会社の設立の登記をしたい方(オンライン申請)
登記の手順④:申請から登記完了まで、そして証明書の取得
申請が受け付けられると、法務局で審査が進みます。各法務局は、申請日ごとの登記完了予定日をホームページで公表しています。申請書に不備があったり、申請が集中したりすると予定日より遅れることがある、と注記されています。不備が見つかった場合は、申請書に書いた連絡先の電話番号に補正の連絡が来ます。申請後の数日間は電話に出られるようにしておくと安心です。私の場合は補正の連絡はなく、申請から約1週間で登記が完了しました。
登記が完了したら、まず登記事項証明書を取り、記載内容が申請書と一致しているかを確かめます。書面申請で印鑑を届け出た場合は、印鑑カードの交付を申請し、そのカードを使って会社の印鑑証明書を取ります。手数料は、書面での請求なら登記事項証明書が1通600円、印鑑証明書が1通500円で、オンラインで請求して郵送で受け取る場合はそれぞれ520円と450円です(法務省の登記手数料の案内で2026年10月17日に確認)。
証明書は、法人口座の開設、税務署への届出、年金事務所の新規適用届などで求められます。年金事務所に出す登記簿謄本は原本で、提出日前90日以内に発行されたものという条件があります。使う場面を書き出してから枚数を決めると、取り直しの手間を減らせます。合同会社の登記が終わったら、次は設立後の届出の段階です。
登記事項証明書を受け取ったら、商号・本店・目的・資本金の額・社員に関する事項を、申請書の控えと一行ずつ照らし合わせます。合同会社の証明書には「取締役」ではなく「業務執行社員」「代表社員」という資格で社員が載り、株式会社のような役員の任期の記載はありません。株式会社の登記簿の見本と見比べると戸惑うかもしれませんが、合同会社には役員の任期がないため、任期ごとの重任の登記も要りません。もし記載に誤りを見つけたら、そのままにせず、早めに管轄の法務局に相談してください。


つまずきやすい所①:登記すべき事項と定款・決定書の記載がずれる
合同会社の登記で補正になりやすいのは、難しい判断よりも、書類同士の食い違いです。法務省は、オンラインによる設立登記申請で多い補正の内容を公開しています。そこには、商号に「合同会社」の文字が入っていない、本店所在地が決定書の記載と一致しない、公告の方法が定款の記載と一致しない、といった例が並んでいます。オンライン申請の事例ですが、書面で自分で申請する場合にも同じ点で引っかかります。
対策は、登記すべき事項を書くときに定款と決定書を横に置き、一字ずつ写すことです。特に本店所在地は、定款では市区町村までにとどめ、番地までの所在場所は決定書で定める形がよく使われます。この場合、申請書の本店欄と登記すべき事項は決定書と同じ書き方にそろえます。「1丁目2番3号」と「一丁目2-3」のような表記ゆれも、そろえておくのが無難です。
もう一つ、株式会社向けの解説を参考にすると、合同会社には要らない書類を用意してしまうことがあります。補正事例のページでも、株式会社の定款は公証人の認証が必要だが合同会社は不要であること、払込みを証する書面の根拠条文が株式会社と合同会社で違うことが示されています。合同会社を自分で設立するなら、記載例は必ず合同会社のものを使ってください。
提出前に、申請書と添付書類一式のコピーを取っておくことも勧めます。補正の連絡では、どの書類のどの箇所を直すのかを電話で説明されるため、手元に同じものがないとその場で確かめられません。提出した順に並べた控えがあれば、連絡を受けてからの対応がずっと楽になります。


出典:法務省:オンラインによる設立登記申請の補正内容について(商業登記)
つまずきやすい所②:設立日の決め方と、休日を設立日にできる特例
成立日は申請の受付日なので、「この日を設立日にしたい」という希望があるなら、その日に申請することになります。ここでつまずきやすいのが、書類の日付と印鑑証明書の期限です。申請書の日付は実際に申請する日を書きます。また、印鑑届書に添付する個人の印鑑証明書は作成後3か月以内のものに限られるため、申請日がずれ込むと期限が切れることがあります。私も期限が気になり、申請の直前に取り直しました。
これまで、土日祝日や年末年始は法務局が開いていないため、その日を設立日にすることはできませんでした。法務省の案内によると、令和8年2月2日から、会社の設立登記について、申請書で求めれば行政機関の休日を設立の日にできる特例が始まっています(2026年10月17日に確認)。指定した休日の直前の開庁日に、開庁時間内に申請が受け付けられること、申請書の余白(オンラインでは「その他の申請書記載事項」欄)に特例を求める旨を書き、登記すべき事項の「会社成立の年月日」に指定日を書くこと、などが要件です。
この特例は2025年4月の私の設立時にはなかった制度で、私自身は使っていません。案内では対象を「会社等」としており、合同会社も設立の登記で成立する会社に当たりますが、使う場合は管轄の法務局で扱いを確認してから申請してください。添付書類は申請日までに作成したものが必要で、求め方に不備があって補正されないと、特例の求めはなかったものとして扱われます。

出典:法務省:休日を会社等の設立の日とすることが可能になりました
登記の流れの中で判断が必要な所:設立日・出し方・司法書士に頼むか
合同会社の登記は、手順だけなら記載例どおりに進められます。本を読んでも決まらないのは、いつ申請するか、どの方法で出すか、専門家に頼むか、という判断です。設立日は最初の事業年度の長さを決め、設立後の届出期限の起算日にもなります。法人設立届出書は設立の日から2か月以内、青色申告の承認申請書は設立の日から3か月を経過した日と最初の事業年度終了の日のいずれか早い日の前日まで、と国税庁が案内しています(2026年10月17日に確認)。決算月との組み合わせで、最初の決算までの期間が変わる点も考えておく必要があります。
出し方は、平日に法務局へ行けるか、マイナンバーカードと読み取り機を用意できるか、で選び方が変わります。窓口は受付日がはっきりする一方、平日に時間を取る必要があります。オンラインは印鑑の提出を省ける代わりに、電子署名の環境を整える手間がかかります。
登記の申請を本人に代わって行えるのは司法書士です。出資者が1人・金銭出資のみで定款も標準的なら、自分で進めても大きな問題は起きにくいと考えます。私も司法書士には頼んでいません。一方、社員が複数いる、法人が社員になる、現物出資がある、といった場合は添付書類が増えます。私は該当しなかったため実体験はありませんが、制度上は職務執行者の選任書面や資本金の額の計上に関する証明書などが必要になるため、最初から相談したほうが早いでしょう。


まとめ:合同会社設立の流れと登記を、自分でやる場合と専門家に頼む場合で並べる
合同会社設立の流れの最後にある登記は、記載例どおりに書類をそろえ、管轄の法務局へ出し、補正に対応し、完了後に証明書を取る、という4つの手順です。会社が成立するのは申請の受付日で、令和8年2月2日からは休日を設立日にする特例も使えるようになりました。補正になりやすいのは書類同士の食い違いなので、定款と決定書と申請書を突き合わせることが一番の対策です。参考として、私の場合は窓口申請で補正なし、約1週間で完了、実費は登録免許税6万円を含めて約6万3千円でした。条件が変われば日数も費用も変わります。
自分で登記する場合は、報酬がかからない代わりに、記載例を読み込む時間と、補正の連絡に対応する時間が必要です。司法書士に頼む場合は、報酬がかかる代わりに、申請書の作成から提出まで任せられ、設立日の決め方も相談できます。どちらが合うかは、社員の人数や出資の形、平日に動ける時間で変わるため、一概には言えません。
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