合同会社の定款を自分で作った話|絶対的記載事項と迷ったポイント

定款とは何か。合同会社の設立において何を決める書類なのか
定款とは、会社の目的や仕組みを定めた基本ルールのことです。合同会社を設立するときは、必ずこの定款を作成しなければならず、ここで決めた内容が会社の土台になります。
株式会社であれば公証役場での認証が必要になりますが、合同会社の場合は少し事情が異なります。この違いは後の章で詳しく触れますが、まず押さえておきたいのは、合同会社の設立でも定款そのものを省略することはできないという点です。
自分で定款を作ると聞くと難しく感じるかもしれませんが、書くべき項目はある程度決まっています。次の章から、実際に自分で作成した際の項目を一つずつ紹介していきます。
合同会社の設立を検討し始めた段階では、定款という言葉自体になじみがない人も多いはずです。私も最初は、定款と登記申請書の違いすら曖昧なまま調べ始めました。まずは「定款=会社の基本ルールを書いた文書」という理解で十分で、細かい形式は後から整えていけます。
合同会社と株式会社の両方の設立経験がある知人に話を聞いたところ、「合同会社のほうが定款の自由度が高い分、逆に何を書けばいいか迷いやすい」という感想をもらいました。自由度が高いというのは、自分で設立する人にとって嬉しい面もあれば、迷いの原因にもなる面もあるようです。

合同会社の定款に必ず書く項目(絶対的記載事項)
合同会社の定款には、必ず記載しなければならない項目があります。具体的には、事業の目的、商号(会社名)、本店の所在地、社員(出資者)の氏名または名称と住所、社員全員が有限責任社員である旨、そして社員の出資の目的とその価額または評価の基準です。
自分で定款を作る場合、このうち一つでも欠けると法務局での登記申請の段階で補正を求められることがあります。自分が定款を作成したときも、出資の価額の書き方で一度書き直しをしました。
事業目的は、将来やる可能性がある事業も含めて広めに書いておくのが一般的です。合同会社の設立後に事業目的を追加する場合、定款変更の手続きと登記費用が別途かかるためです。
本店の所在地についても注意が必要でした。市区町村レベルまでの記載にとどめておけば、同じ市区町村内で移転する場合に定款変更が不要になります。番地まで細かく書いてしまうと、引っ越しのたびに定款そのものを変更しなければならず、自分で管理する手間が増えてしまいます。
- 事業の目的
- 商号(会社名)
- 本店の所在地
- 社員の氏名または名称・住所
- 社員全員が有限責任社員である旨
- 社員の出資の目的・価額または評価の基準

出典:e-Gov法令検索
合同会社は定款認証が不要というのは本当か
合同会社を自分で調べ始めると、「定款認証が不要」という情報によく出会います。これは事実で、株式会社が公証役場で定款認証を受けなければならないのに対し、合同会社にはその手続きがありません。
認証が不要な理由は、合同会社が持分会社という形態に分類され、出資者である社員どうしの合意だけで会社の実体が成立するとされているためです。株式会社のように出資者(株主)と経営者が分かれる仕組みではないため、第三者である公証人によるチェックを必須にしていません。
ただし、認証が不要だからといって定款の内容を適当に決めてよいわけではありません。自分で作った定款がそのまま登記申請の添付書類として使われる以上、内容の正確さを軽く見ることはできません。
認証という第三者チェックがない分、合同会社の設立では自分の確認作業がより重要になると私は感じました。誤字や記載漏れを公証人が代わりに見つけてくれるわけではないため、そうした不備は法務局での登記申請の段階になって初めて表面化することがあります。
この定款認証が不要という扱いは、株式会社との最大の手続き差の一つです。日本公証人連合会のサイト(2026年8月確認)でも、持分会社である合同会社は定款認証の対象外であることが説明されています。

4 自分で定款を作るときの具体的な手順
私が実際に自分で定款を作った手順は、大きく分けて4つでした。まず絶対的記載事項を箇条書きで洗い出し、次に条文の形に整え、社員全員で内容を確認し、最後に電子定款にするか紙にするかを決める、という流れです。
条文の形に整える段階では、法務局や士業事務所が公開しているひな形を参考にしました。ゼロから文章を考えるより、既存のひな形の言い回しに自社の情報を当てはめていくほうが、自分で作業する場合は圧倒的に早く進みます。
社員が複数いる合同会社の場合は、この確認の段階を軽く見ないことをおすすめします。出資額や意思決定のルールは、設立後のトラブルに直結しやすい部分だからです。
私が自分で定款を作成したときは、条文を整えてから完成までおおよそ3日ほどかかりました。仕事の合間に進めたため実働時間はそれほど多くありませんが、社員間で内容をすり合わせる時間を含めると、余裕を持って1週間程度は見ておくと安心です。


紙の定款と電子定款、印紙代4万円の判断
定款は紙で作ることも、電子データで作ることもできます。紙の定款には収入印紙4万円を貼る必要がありますが、電子定款であればこの印紙代がかかりません。
自分で電子定款にする場合は、PDF化した定款にマイナンバーカードなどを使って電子署名を行う必要があります。専用のソフトやカードリーダーを用意する手間はありますが、4万円という金額は決して小さくないため、自分で設立する多くの人が電子定款を選んでいます。
一方で、電子署名の環境を整える手間や時間を考えると、印紙代を払って紙の定款にしたほうが早いと判断するケースもあります。ここは自分の状況や、他の手続きにかけられる時間に合わせて選ぶ部分だと感じました。
私の場合は、すでにマイナンバーカードとICカードリーダーを持っていたこともあり、電子定款を選びました。合同会社の設立にかかる法定費用を少しでも抑えたい人にとって、印紙代4万円が浮くかどうかは小さくない差になると思います。

出典:国税庁
定款作成で実際につまずいた点
自分で合同会社の定款を作る中で、私が一番迷ったのは「出資の価額」の書き方でした。金銭出資だけなのか、現物出資を含むのかによって記載方法が変わり、ひな形をそのまま使うと自社の状況に合わないことがありました。
もう一つ迷ったのが、事業目的の表現です。書きすぎると内容がぼやけ、絞りすぎると将来やりたい事業が対象外になってしまいます。結局、いくつかの合同会社の定款例を見比べながら、自分の言葉で書き直しました。
本には載っていない、細かい書式の揺れに戸惑う場面も多くありました。ここは自分で何度も見直すか、迷ったら専門家に一度見てもらうのが安全だと感じています。
複数の本やサイトを見比べると、同じ「合同会社の定款」というテーマでも書き方の細部が微妙に異なっていることに気づきます。どれか一つを信じ込むのではなく、条文の意味を自分の言葉で理解しながら組み合わせていく姿勢が、結果的に自分で作業を進めるうえでの近道でした。

出典:e-Gov法令検索
定款には書けても、手順ではなく判断が必要な項目がある
合同会社の定款は、絶対的記載事項さえ押さえれば自分で作成できます。ただし、定款に書き込む内容の中には、手順を踏めば済むものと、自分で判断しなければならないものが混ざっています。代表的なのが、事業年度(決算月)と資本金の額です。
事業年度をいつからいつまでにするかは、法律で決まった正解があるわけではありません。消費税の免税期間をできるだけ長く確保したいのか、繁忙期を避けたいのか、税理士に依頼するタイミングを考慮するのかなど、複数の要素をふまえて自分で決める必要があります。
資本金の額も同様です。事業年度開始時点の資本金額が1,000万円という基準に達した新設法人は、設立1期目から消費税の課税事業者になり免税の特例を受けられなくなる、と国税庁の案内(2026年8月確認)は説明しています。資本金をいくらにするかは、定款の絶対的記載事項の一つでありながら、税務上の判断でもあるという二面性を持っています。
私の場合は、社員が少なく比較的シンプルな内容だったため、最終的には自分で作成した定款をそのまま使いました。それでも、事業年度と資本金の額については一度、司法書士に目を通してもらい、致命的な見落としがないかだけは確認しています。自分で全部やるか、判断が必要な部分だけ専門家を頼るかは、会社の複雑さと時間の余裕で決めるとよいと思います。

出典:国税庁:No.6531 新規開業又は法人の新規設立のとき
定款が完成した後にやること
定款ができあがったら、それで終わりではありません。合同会社の場合、次に出資金の払込みを行い、その後に法務局への設立登記の申請に進みます。
定款の内容と登記申請書の内容が食い違っていると、法務局で補正を求められることがあります。自分で作成した定款は、登記申請の直前にもう一度読み返しておくことをおすすめします。
定款は登記申請の後も、法人の銀行口座を開設するときや、税務署に届出をするときなど、さまざまな場面で提出を求められます。自分で作った定款のコピーは、原本とあわせて何部か用意しておくと、合同会社の設立後の手続きがスムーズに進みます。
- 出資金の払込みを行う
- 払込証明書を作成する
- 登記申請書など必要書類をそろえる
- 法務局へ設立登記を申請する

9 まとめ:合同会社の定款は自分で作れるが、確認は丁寧に
合同会社の定款は、絶対的記載事項さえ押さえれば自分で作成することができます。株式会社と違って定款認証が不要な分、公証役場に行く手間や費用はかかりません。
一方で、認証というチェックの機会がないからこそ、自分で作った内容を自分で丁寧に確認する必要があります。出資の価額や事業目的の書き方など、迷いやすいポイントはあらかじめ知っておくと、合同会社の設立に向けた作業がスムーズに進むはずです。
この記事が、合同会社の設立を自分で進めようとしている人の、定款作成の一歩を後押しできればうれしいです。
最後に振り返ると、合同会社の定款づくりで一番大切だったのは、完璧な文章を最初から書こうとしないことでした。自分で下書きを作り、何度か見直しながら整えていくやり方のほうが、結果的に早く、納得のいく定款に仕上がったというのが私の実感です。

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