
合同会社の定款を自分で作った話|絶対的記載事項と迷ったポイント
この記事は、合同会社の設立に向けて定款を自分で作ろうとしていて、何を書けばいいのか、認証は本当に不要なのか、電子定款にすべきかどうかで手が止まっている人に向けて書いています。合同会社commit編集部が2025年4月に実際に合同会社を設立した際、定款を自分で作成した過程をもとにまとめました。本を読んでも書いてある内容が微妙に違ったり、ネットの情報がどこまで自分のケースに当てはまるのか分からなかったりして、手が止まった経験がある人にも参考にしてもらえるはずです。 定款とは何か。合同会社の設立において何を決める書類なのか 定款とは、会社の目的や仕組みを定めた基本ルールのことです。合同会社を設立するときは、必ずこの定款を作成しなければならず、ここで決めた内容が会社の土台になります。 株式会社であれば公証役場での認証が必要になりますが、合同会社の場合は少し事情が異なります。この違いは後の章で詳しく触れますが、まず押さえておきたいのは、合同会社の設立でも定款そのものを省略することはできないという点です。 自分で定款を作ると聞くと難しく感じるかもしれませんが、書くべき項目はある程度決まっています。次の章から、実際に自分で作成した際の項目を一つずつ紹介していきます。 合同会社の設立を検討し始めた段階では、定款という言葉自体になじみがない人も多いはずです。私たちも最初は、定款と登記申請書の違いすら曖昧なまま調べ始めました。まずは「定款=会社の基本ルールを書いた文書」という理解で十分で、細かい形式は後から整えていけます。 合同会社と株式会社の両方の設立経験がある知人に話を聞いたところ、「合同会社のほうが定款の自由度が高い分、逆に何を書けばいいか迷いやすい」という感想をもらいました。自由度が高いというのは、自分で設立する人にとって嬉しい面もあれば、迷いの原因にもなる面もあるようです。 設立の土台になる基本ルールを、自分で言葉にしていく作業です。 出典:法務局:商業・法人登記申請手続 合同会社の定款に必ず書く項目(絶対的記載事項) 合同会社の定款には、必ず記載しなければならない項目があります。具体的には、事業の目的、商号(会社名)、本店の所在地、社員(出資者)の氏名または名称と住所、社員全員が有限責任社員である旨、そして社員の出資の目的とその価額または評価の基準です。 自分で定款を作る場合、このうち一つでも欠けると法務局での登記申請の段階で補正を求められることがあります。私たちが定款を作成したときも、出資の価額の書き方で一度書き直しをしました。 事業目的は、将来やる可能性がある事業も含めて広めに書いておくのが一般的です。合同会社の設立後に事業目的を追加する場合、定款変更の手続きと登記費用が別途かかるためです。 本店の所在地についても注意が必要でした。市区町村レベルまでの記載にとどめておけば、同じ市区町村内で移転する場合に定款変更が不要になります。番地まで細かく書いてしまうと、引っ越しのたびに定款そのものを変更しなければならず、自分で管理する手間が増えてしまいます。 事業の目的 商号(会社名) 本店の所在地 社員の氏名または名称・住所 社員全員が有限責任社員である旨 社員の出資の目的・価額または評価の基準 出典:e-Gov法令検索 合同会社は定款認証が不要というのは本当か 合同会社を自分で調べ始めると、「定款認証が不要」という情報によく出会います。これは事実で、株式会社が公証役場で定款認証を受けなければならないのに対し、合同会社にはその手続きがありません。 認証が不要な理由は、合同会社が持分会社という形態に分類され、出資者である社員どうしの合意だけで会社の実体が成立するとされているためです。株式会社のように出資者(株主)と経営者が分かれる仕組みではないため、第三者である公証人によるチェックを必須にしていません。 ただし、認証が不要だからといって定款の内容を適当に決めてよいわけではありません。自分で作った定款は、そのまま登記申請の添付書類になるため、内容の正確さは変わらず重要です。 認証という第三者チェックがない分、合同会社の設立では自分たちの確認作業がより重要になると私たちは感じました。誤字や記載漏れがあっても、公証人が指摘してくれるわけではないため、法務局での登記申請の段階で初めて不備に気づく可能性があります。 公証役場に行かなくてよい分、自分で内容を正確に詰める必要があります。 出典:日本公証人連合会:定款認証 4 自分で定款を作るときの具体的な手順 私たちが実際に自分で定款を作った手順は、大きく分けて4つでした。まず絶対的記載事項を箇条書きで洗い出し、次に条文の形に整え、社員全員で内容を確認し、最後に電子定款にするか紙にするかを決める、という流れです。 条文の形に整える段階では、法務局や士業事務所が公開しているひな形を参考にしました。ゼロから文章を考えるより、既存のひな形の言い回しに自社の情報を当てはめていくほうが、自分で作業する場合は圧倒的に早く進みます。 社員が複数いる合同会社の場合は、この確認の段階を軽く見ないことをおすすめします。出資額や意思決定のルールは、設立後のトラブルに直結しやすい部分だからです。 私たちが自分で定款を作成したときは、条文を整えてから完成までおおよそ3日ほどかかりました。仕事の合間に進めたため実働時間はそれほど多くありませんが、社員間で内容をすり合わせる時間を含めると、余裕を持って1週間程度は見ておくと安心です。 洗い出し・条文化・社員間確認・形式の決定という順番で進めました。 出典:法務局:商業・法人登記の申請書様式 紙の定款と電子定款、印紙代4万円の判断 定款は紙で作ることも、電子データで作ることもできます。紙の定款には収入印紙4万円を貼る必要がありますが、電子定款であればこの印紙代がかかりません。 自分で電子定款にする場合は、PDF化した定款にマイナンバーカードなどを使って電子署名を行う必要があります。専用のソフトやカードリーダーを用意する手間はありますが、4万円という金額は決して小さくないため、自分で設立する多くの人が電子定款を選んでいます。 一方で、電子署名の環境を整える手間や時間を考えると、印紙代を払って紙の定款にしたほうが早いと判断するケースもあります。ここは自分の状況や、他の手続きにかけられる時間に合わせて選ぶ部分だと感じました。…